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●NPOが担う「公」、協働のあり方 万里夢では、これまで中間支援組織に関する特集を組んで考察をしてきた。そこで見えてきたものは「公とは何か」ということ。阪神・淡路大震災における市民団体やボランティア団体の活躍を背景にNPO法が制定されて以来、NPOはこれまで行政では出来なかったことを市民の目線で担う「新しい公の担い手」として注目をされてきた。法人の数も約2万団体にまで増えた。2003年から指定管理者制度が導入されたことにより、今後益々NPOは、今まで「公」が担っていた領域に進出をしていくだろう。 ■新しい時代の公 三重県では、10年先を見据えた県の方向を示す総合計画「県民しあわせプラン」の中で「新しい時代の公」を提唱している。『公的領域は行政が担うもの』という考え方から、『県民も行政と共に「公」を担う主体となる』という考え方の転換が、新しい時代の「公」の基本にある。県民たちが自主的に地域に関わり、地域をつくっていく地域主権の社会において、地域の課題解決を行政だけに任せておくのではなく、誰もが積極的に「公」を担う活動に参加できるしくみが必要であるとしている。そして、「新しい時代の公」の特徴として次の3点をあげている。 1、行政だけが公の担い手ではない=地域に根ざした文化を守り育てる活動や、子どもの安全を守る活動など、これまで私的な活動と捉えられがちであった県民による地域のための活動を、「公」の活動として捉え直すこと。 2、「協働」の意味の問い直し=多様な主体の自主性、主体性を尊重し、役割分担しながら、対等な協力関係を築いていくこと。 3、行政の役割の見直し=行政の特徴といえる「公平・公正」の基本をしっかりとふまえつつ、県民の活動の自発性、主体性を最大限尊重しながら、多様な主体をつなぐ関係づくり、県民が安定した活動を継続するための条件整備など、県民の活動を支える新たな仕組みづくり。 ■新しい協働の形 板橋区は、市民活動支援条例のさきがけとして、「ボランティア活動推進条例」をNPO法成立以前に全国で初めて制定した。その後、NPOと区が協働のあり方を話し合う場としてスタートした「NPOと行政の協働のあり方検討会議」の出席者有志が集まり、2002年9月NPO法人いたばし総合ボランティア市民活動センターという中間支援組織を設立(2003年2月に法人格を取得)。区はこの法人の協議に参画し、情報提供や情報交換を図りながら支援を行うと同時に、協働事業「いたばしボランティア・NPOホール」の施設管理委託をしている。 現在、区内のボランティアやNPOを総合的に支援する一元化した拠点の設置を目指し、区民、協働NPO法人(NPO法人いたばし総合ボランティア市民活動センター)、社会福祉協議会、板橋区の四者による運営委員会を組織し、それぞれの持つ得意分野での経験や信頼性などを発揮できる協働による運営を協議していくテーブルづくりが進行中だ。NPO、ボランティア、行政との相互支援体制が期待されると同時に、新しい協働の形として注目される。 ■対等な協働関係へ 今「公とは何か」を考える時がきているのではないだろうか。行政の提供するサービスが、自分達の望むものと違っていたり、自分達が望むサービスが受けられなかったりしたとき、行政に文句をいうのではなく、「自分達でやろう」と市民が行動を起す、それが「新しい公」の始まりかもしれない。行政とNPOの関係を見るに、NPOの力を安く利用したい行政、行政から安定した委託を受けなければ組織維持が危ういNPOという構図がある。NPOも公を担い、行政と真に対等な協働の関係を築くためには、NPOへの決定権の委譲、正当な報酬の支払いが欠かせない。同時に、NPOにも「公」を担うに足る経営力をつけることも必要ではないだろうか。行政と対等なパートナーシップを結べるための基盤づくりなど、自立したNPOを育てるための支援策はまだ充分とはいえない。 (馬場 悦子) <参考>「新しい時代の公」推進調査 −中間集約案(原案)− 平成16年10月 三重県 ●特定非営利活動法人ひとまちCDC 「まちづくりはハーモニー♪♪」 特定非営利活動法人「ひとまちCDC」は、台東区の谷中を中心に、地域の価値を守り、高めるため、地域と地域社会に基盤を置いて地域共生型の住みつづけられるまちづくりに取り組む非営利のまちづくり法人です。 「谷中のまち」 台東区の谷中地域は、関東大震災や第二次世界大戦の被害が少なく、江戸期以来の都市構造と生活文化が重層的に現代に生きる貴重な地域です。 一方で、地域の文脈と無関係な土地利用・建物更新などによる町の作法の断絶、災害や高齢化に対する不安、観光と生活との調和など、地域をめぐる諸課題に対する取り組みが求められています。 「地域に根ざした専門組織」 谷中地域では、マンション建設の計画が契機となり、地域住民が一体となって、マンション事業者と協議を行い、地域のまちづくり憲章が生まれ、まちづくり協議会が設立されました。この中で、地域住民の側に立って計画づくり、まちづくり事業の推進等を進める専門組織の必要性が、確認されたと私達は考えます。 「地域社会、行政とのパートナーシップ」 ひとまちCDCは、地域社会、行政、まちづくりグループや、他の専門的NPOとパートナーシップを図りながら、まちづくりに取り組みます。 「現在進行中のプロジェクトから」 ひとまちCDCでは『谷中くらすかい』を設立し、会員の皆さんと学習や情報交換を図りながら、谷中でのコーポラティブハウスを実現していきたいと考えています。また現在プロジェクト第一号を検討中です。会員は、谷中で暮らしていきたいが子育てするのに適当な物件が無い、年を重ね便利で静かな谷中に暮らしたいといった居住希望者(コーポラティブ方式ではユーザーといいます)を募る「暮らしたい会員」、谷中に持っている土地や建物を有効活用したい、相談したいという「建てたい会員」、情報をほしいといった「まずは情報から会員」の三つに分かれています。いずれも入会金や年会費は無料です。谷中に暮らしたい、暮らし続けたいとお考え方の入会を心よりお待ちしています。 CDCとは、Community Development Corporationの頭文字をとったもので、地域に根ざした「まちづくり」を専門的立場から支援する非営利の社会的企業という意味が込められています。アメリカでは約3,000のCDCがまちづくり、住まいづくりで大きな役割を果たしています。 〒110-0001 東京都台東区谷中4-4-23 森田荘204 TEL・FAX 03-3822-3531 Email info-cdc@tctv.ne.jp http://www.tctv.ne.jp/info-cdc/ ●指定管理者制度の導入をめぐって ◇指定管理者制度の学習会開催 昨年8月に企画した「NPOと区議の懇談会」をきっかけに、10月末に「指定管理者制度とは―課題と対応のあり方」について学習会を開きました。当日の参加は、区議会議員7名とNPO 5団体の他、個人参加も加えて14名。今回は子育て関連公共施設のNPO運営を視野に入れ、あえて「子育て支援NPO」を中心に参加を呼びかけ、NPO法人「東京ランポ」の伊藤久雄さんに講師をお願いしました。 法改正の背景、改正内容、条例化の課題、現在の動向、管理委託と受託団体の現況、江東区の現状、市民・NPOの課題等々多岐に亘って、市民・NPOサイドから説明をしていただきました(因みに伊藤さんは自治労都本部勤務、労働者サイドに立つと同じ内容でも微妙な違いが出てくるとか)。 江東区の「管理委託」の特徴と現在の進行状況は以下のとおりです。 ・ 管理委託施設が23区中最多 ・ 区民施設、生涯学習施設のほとんどが利用料金制 ・ 区民施設の大半は(財)江東区地域振興会(区の出資団体)が受託 ・ 福祉施設は全て社会福祉法人 ・ 生涯学習施設は(財)江東区地域振興会とスポーツ公社(区の出資団体)が受託 ・ 2004年5月末に簡単な「アウトソーシング基本方針」が出されているが、「指定管理者 制度基本方針」は未だ策定されていない ・ 既に「子ども家庭支援センター」、「保育園」の一部が指定管理者に移行 ・ 「児童館」、「学童クラブ」の指定管理者移行を検討中 管理委託施設が圧倒的に多い江東区は、直営か指定管理者かの二者択一の道ではなく、2005年度中に無償貸与方式の民営化と一般的な業務委託を進め、指定管理者制度の対象をできるだけ減らす方向に進むように見えます。また、指定管理者移行も既に一部実施されているものの、残念ながらNPOへの期待度は薄く、積極的に視野に入れていない様子。はじめから指定管理者制度をよしとするのではなく、いずれの方式にせよ、単なるコスト削減ではなく、地域の問題を人々が自ら解決するために役立つ場、地域の創造力を発揮する場づくりをめざし、透明性と公平性に根ざした運営・管理の下で新たな「公共」をつくりだすことが大事だと思います。 ◇政策提言 11月下旬の定例議会で、「指定管理者制度通則条例」(一般条例)案が提案されるとの情報を得、この審議が付託される委員会メンバーの内、前述の懇談会と学習会参加の議員2名に以下の点に関する意見・要望書を送り、更に行政の提案作成部署に提案・意見を提出しました。 1.「指定管理者制度基本指針」の提示について 2.「管理委託」全施設の「制度移行方針(計画)案」の公開について 3.通則条例(案)あるいは要綱(案)に盛り込む要点について 4.小規模施設の指定管理者としてのNPO活用案 ◇委員会傍聴 さて、11月29日、企画総務委員会を傍聴してきました。懇談会参加議員からいくつかのポイントについて質問が出されましたが、答弁は具体性に欠ける印象でした。ついでに他の案件についても傍聴しましたが、ほとんどの場合、某党議員(一名)の独り舞台で、彼の長々たる発言を他の議員達は『早く終わらないかな』といった面持ちで待っているといった感じ。それにしても、他のメンバーはなぜ質問も意見も無いのでしょうか、これではゴムスタンプの役割かと傍聴者に誤解されかねないと心配になりました(私の退席後に活発な論議があったのだとしたら、杞憂ですが)。 (本間 恵) ●TOY工房どんぐり 代表 原 章子 ■何をやるボランティアグループか。 おもちゃを作っています。それも布で。むかし?どんぐりのおもちゃを見て「うちの子の幼い時にこんなおもちゃがあったら...」という障害児のお母さんの声に押されて20年前に発足しました。電池を使わず、投げても口に入れても危なくない材料で作り、その数は30種類を超えました。近ごろは高齢者のリハビリにとそのニーズが拡がっています。 ■どこでやっているか。 小田急沿線の駅前の代田ボランティアビューロー1階の集会室です。新宿からは10分足らずですが、急行は止まらず、お隣の下北沢に人は足を向けるので、穏やかな駅前です。(新宿や渋谷の高層ビルがすぐそこなのに。)集会室を週1〜3回無償でお借りしていますが、20年のおもちゃ作りボランティア活動の実績とそのおもちゃの面白さ楽しさが周りの皆さんを魅了し、行政も活動の継続を認めてくれているからではないかと感謝しています。 ■何人くらいでやっているか。 部屋の収容能力が自然に定員を決めているのでしょうか。20数名が登録メンバーです。登録といってもあくまでもボランティア、会費なし、会則もとくになし、出来る人ができる時間に10時〜4時の間、手を動かし口を動かし楽しく活動します。 ■特に人気のあるおもちゃは? 1989年福祉機器デザインコンペ京都で優秀賞を受賞した「魚釣りゲーム」が筆頭にあげられます。デザイン、質感、音色に加えて、様々な遊び方は子どもから大人まで充分楽しめます。魚100匹のデラックスセット、20匹のスタンダードセット、勿論一匹でも作ります。この魚のぬいぐるみは私たちの他に抜型製作所もボランティアで協力し、さらに、世田谷区内の重度在宅障害者通所施設、駒沢生活実習所と、民間の白梅製作所も製作にかかわっています。私たちはこれらの方々の社会参加、自立支援のお手伝いとして、わずかですが工賃をお支払いしています。 どんぐりは専門性のあるボランティア活動として、今まで日本国内はもとより紛争後の国の子どもたち、途上国の施設にも送り続けてきました。従来からの注文制作と、資金のない所への無償の援助業に力を入れていく計画です。 どんぐりのおもちゃは、人間関係を豊かにしたいと、グループ遊びのできるものも沢山あるので、いろいろなイベントなどで大いに利用できることでしょう。 ホームページ:http://setagaya.sitego.to/vol/toydonguri/index.htm ●厚労省通達と市民労働 昨年9月下旬のこと、東京マイコープから、厚生労働省労働基準局長名の「訪問介護労働者の法定労働条件の確保」なる通知が示され、組合員が関わる福祉系NPOの実情を調べるよう要請がありました(生協のNPO支援部署の業務委託を受けている関係で)。 通知の内容は、「介護保険法に基づく訪問介護員は委任、委託等の呼称であっても労基法第9条の労働者に該当するもので、労基法関連法令が適用される」というものです。介護保険法の適用範囲の労働に限るのかと思いきや、さにあらず「介護保険法の適用の有無にかかわらず、老人・障害者等の居宅で入浴、食事等の介護やその他日常の生活上の世話を行う業務」は対象になるとのこと。これは問題です。介護保険枠外で高齢者の家事援助サービスを行うNPOはかなり在りますから。 後日、NPO法人「市民がつくる政策調査会」の10月理事会でこの件が話題に上がり、よい機会なので、流山裁判とも通底する「市民労働」について考えてみようということになりました。以来6、7名で情報交換や打ち合わせの場を何回か持ちました。 石毛えい子議員の仲介で労働基準局の役人と話をした時のことですが、彼が言うには、「労働者」に該当するかどうかの線引きは、「使用者の指揮監督下にあり、命令に対して諾否の自由があるか否か」なのだそうです。そこで、家事援助サービスの登録ヘルパーの実態(ほとんどの場合諾否の自由がある)を説明し、「このケースは労基法上は労働とはみなされないですね」と念押しすると「該当しないでしょう」という答えでした。 その後、身近な複数のNPOに対し、ヘルパーの雇用・労働実態に関する再ヒアリングを行ったところ、次のようなことが分かりました。 1)ヘルパーは、@常勤(正規職員)ヘルパー A非常勤ヘルパー B登録ヘルパー等に分かれ、「常勤ヘルパー」は指揮命令下にあり諾否の自由はなく、「非常勤ヘルパー」と「登録ヘルパー」は「依頼」に対する諾否の自由を有する立場にある。 2)介護保険事業には@〜Bのヘルパーが関わり、比率としてはA、Bが多い。「契約書」(就業規則添付)は介護保険事業に関わる全てのヘルパーと取り交わされている。但し、@以外のヘルパーでは、「移動時間」、「待機時間」等は労働時間と見なされない。 3)枠外サービスは「登録ヘルパー」によって担われ、雇用・契約関係にはなく、「入会登録書」の提出に従い、団体の定款、規約、規則等の必要書類を渡すにとどまっている。しかしこの活動を「有償ボランティア」とは位置づけていない団体が多い。 4)3種のヘルパーとも、組織のミッションに共感して会員となり、社会貢献と自由な働き方、自分を生かせる場としてあえて非営利の職場を選ぶケースが多く、一般的な雇用・被雇用の関係とは重ならない面がある。 5)「労働者」に該当する常勤ヘルパーがNPO法人の「正会員」であるケースも多く、そのことが雇用・被雇用の分岐点にはならないものの、議決権を有し組織の運営にも参加する特殊な位置づけにあるとは言える。 6)介護保険事業で得た最終剰余は、その他の本来事業の資金に当てるなど、組織のミッション実現のために活用している。また保険外労働対価の一部を運営費に納める方法は、会員の合意に基づくルールとして既に定着している。 厚労省見解で「労働者」とみなされる立場は、どうやら「常勤ヘルパー」だけのようですから、労基法上特に問題はないわけです。しかし、“指揮命令下になく、依頼に対して諾否の自由を有する”「登録ヘルパー」によって、現場の多くが担われている現実があります。そこに視点を当てると、「働き方」の多様性の問題にぶつかります。 登録ヘルパーは、「常勤(正規職員)ヘルパー」としてフルに働きたいのに、それが叶わないのか?私が聴き取った範囲では「否」です。個々が抱える今の生活環境に合わせて、地域の共感できる組織で、自分を生かせる仕事に、可能な範囲で関っていきたい。将来、条件が変われば、もう少し仕事の比率を高めるかも知れない、といったところが多数派。だとすれば、このような「コミュニティ・ワーク」、「市民労働」等にフィットする新たな法制度が必要になるのではないでしょうか。 さしあたって、市民がつくる政策調査会と市民福祉サポートセンターが事務局になり、「(介護サービスにおける)市民労働のあり方に関するプロジェクト」を立ち上げ、市民労働の混沌とした現状をどう捉え、どう方向付けていくのか勉強することになりました。(呼びかけ参加団体:市民がつくる政策調査会、市民福祉サポートセンター、市民運動全国センター、神奈川ワーカーズ・コレクティブ連合会、東京・生活者ネットワーク、NPO・えん) (本間 恵) ⇒ニュースレター最新号・インデックスへ |
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