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●地縁による団体とNPO 人は生まれるとそこに「血縁」が生じ、日常生活を営んでいくうえでは、対語となる「地縁」が生じる。人が地域社会を形成していく場合に、まず「自助努力」が求められ、そして、理想的な社会形成のために「相互扶助」が望まれる。さらには「共同行為・共同請求」へと発展していく。かつての地域組織「隣組」は敗戦によって占領軍により解散されたが、なにかと行き届きかねることから、昭和27年に任意団体としての町内会が復活した。地方自治法には、要件として「住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動」と定められ、代表する者の申請による市区町村長の認可制となった。条文には、認可された「地縁による団体」を、公共団体その他の行政組織の一部とすることを意味するものと解釈してはならないとあり、自主的に運営する、不当な加入拒否や構成員への差別的取扱いをしてはならない、特定の政党のために利用しないなどと、時代を反映した考慮のあとがうかがえる。 喧伝に「行政の下請け化」ともいわれるごとく、町内会へ自治体等からの依頼事項は多い。民生委員、児童委員の推薦、投票所の立会人、国勢調査・土地家屋調査の調査員、防災協力、敬老行事、町内清掃、交通安全、ゴミ処理・資源回収、広報掲示板などいとまがない。これらには団体への助成、手当があるものもあるが、たかだかは義務と名誉職的なものでしかない。このほかに、本来の地域行事がある。町内の防火防犯活動、会員の弔事、地区学校行事への参加、祭礼・レクリエイションの催行、地元商店会・連合町会との連携、各種助け合いへの協賛。町会員が一括して社会福祉協議会の会員となり、町会費とともに会費を集めているところもある。行政への圧力団体という機能から地方選挙で町会推薦をするところもあるが、町会役員はともかく、一般的に効力は薄くなったようだ。昨今では、「地縁」を敬遠あるいは批判して、町内会活動から遠ざかる傾向がある。地元商店の衰退も活力をそぐ。日中は年寄り子供だけの家や独居老人の世帯も漸増、安全面の不安も多くなった。未加盟者が増えた分だけ他の構成者の負担は増える。時勢として構造を変化させる必要に目が向けられるが、これ以上の負担増には対応しかねるというのが実情ではなかろうか。 地域社会を対象とするNPOには、会社・組合組織とは違う非営利活動という特性を武器として、認可制法人では対応し難いところに、準則主義による自在性を発揮して入っていく、そのアイデアの提示が求められている。 (平久江利光理事) ●特集 もとめられる中間支援組織 ■利用者ニーズを模索する <杉並NPO・ボランティア活動推進センター> JR阿佐ヶ谷駅から徒歩3分。区民センターの4階にあるこのセンターは2002年10月、社協のボランティアセンターの組織改変を行い、公設社協運営という形で開設された。注目されるのは、社協から独立した組織運営と意思決定権を有し、自主性と民間性を確保した点で、「杉並方式」ともいわれている。開設時、「3年後にはNPO法人化を図る」ことが区と取り交わされた。来年その3年後を迎えるにあたり、検討がどのようにされているのか、話しを伺いに出向いた。職員の中島さんにお話しを伺った。区切られた会議スペースでは活発に話し合いが行われ、自由に使えるパソコンもフル回転。区民に活発に利用されている様子が伺える。 単刀直入に「NPO法人化については?」。昨年度、「NPO法人化検討委員会」を設け、法人化するにあたってのシュミレーション作業を行ったが、具体的な結論には至らなかったとのこと。行政や一部の市民からは不満の声があがったという。今年度メンバーを改変し、NPO法人化に論点をしぼらず、センターの運営・機能面に焦点を当てた「センターあり方検討委員会」を発足させ、検討を行っている。8月には、「センターに求められているもの、区民のニーズ」を探る調査を行い、現在分析中だ。そこから少しお話しを伺った。センターの登録団体と区内の市民団体約258団体を対象にした調査では(回答率40%)、「センターに期待する事業」として多いのは「行政との橋渡し」で、「企業との橋渡し」を望む回答もあったという。現在の支援で不満としてあげられた数は少ないが相談窓口、組織マネジメント向上支援、人材教育支援などの声がある。 これまで、センターは施設・備品提供の他、活動相談、NPO活動支援、ボランティア活動推進、情報発信や収集事業を行なってきた。しかし、利用する区民は従来通りの地縁型ボランティア支援を望むボランティア組織と、もっと自立支援、行政の資源活用等を望むNPO団体に2分されるという。中島さんは「NPO支援にはスキルや専門性が必要。例えば公認会計士、弁護士、中小企業診断士のような。センター運営そのものは専門家でなくともできるが、充分に機能させるにはその存在が欠かせない」といいます。 また、他地域のNPO支援組織を対象に行った同様の調査では、「自主事業としてもNPO支援事業をしているので、自分達の団体はたとえ行政の市民活動センターの委託がなくとも財政的にも問題は生じない」と回答した団体もあるとのこと。絶えず評価にさらされ、市民活動支援の受託が他のNPOに取って代わられても独自の事業展開をすることで自立していける強さを備えたNPOが育ってきているという。 杉並の場合は、“協働のガイドライン”に基づいて、区の施設の半数近くを民間運営に移行させる方針とのこと。センターの問題は、現在の運営主体である社協のあり方、行政のあり方、公共性をどう担保するのかという問題もはらみ、現在検討中の公益法人改革の行方も横目でにらみながら、より区民のニーズに見合う形の決着をめざし模索がまだしばらく続けられる。 ■公共とは何か 行政=公共だろうか。アメリカでは、「市民の半数が支持している団体は自治体になりうる」と言われているという。最近は、行政の公共サービス民間委託が進み、指定管理者制度ができたこともあってその動きが加速することが予測される。これは行政と民間団体の協働の進展として評価できる反面、公共サービスに営利を追求する企業倫理を持ち込むことで起こりうる様々な問題もはらんでいる。行政は市民から何を期待されているのか、市民社会の成熟過程で、自分達は何を自治していくのか、そのあたりのせめぎあいの中で、行政も市民も民間団体もそれぞれの力量を問われる時代がきている。中間支援組織もその真只中にいる。 (馬場悦子) ●NPO法人ウイッシュ・プロジェクト 代表 村上 朋子 NPO法人ウイッシュ・プロジェクトは、障碍者も健常者も老いも若きも人間であるかぎり、生きている実感と、すべてのものとつながっている充実感を共有していきたいという熱い思いを形にしていこうと、カウンセラーとインターネット版タウン誌の編集者が立ち上げた法人です。 主に相談事業、交流・ネットワーク事業を行っています。交流・ネットワーク事業では、交流会、講演会、個別指導の必要な人へのパソコン講習、障碍者支援、近日中には「職人応援団」というさまざまな職人の方を取り上げたサイト運営も予定しています。相談事業においては「カウンセリングからソーシャルサポートまで」とうたい、引きこもりがちな若者の居場所作りから始まりジョブクルーと命名された就労支援は、少しずつ事業の形態を帯びてきました。 感性がとても豊かで責任感が強いのに、自分に自信をもてない若い人たちの、誰かの役に立ちたい、何かできることはないかという強い思いを、社会参加につなげていくジョブクルーの活動は私たちが一番力を入れていきたい事業です。 はじめは近隣の理解ある商店から簡単な仕事をいただき、事務所の中での内職から始まり、外でアルバイトができる者にはアルバイトを紹介していただいて、「できることをできる人が無理をせずやっていく」という形が作られてきました。わずかな内職のお金を貰って生まれて初めての給料といって喜んでいた彼、以前に貰った給料より支えてくれた人の気持ちがこもったこのお金がずっとうれしいといってくれた彼女。お世話になっている商店の方から、とてもありがたい評価をいただき、ますます彼らの能力への確信を持つことができました。 彼等に仕事を提供したい、きちんとした給料を支払いたい、それができたらもっと彼らも自信を持つことができるし、家族の方も安心できるのにと考えました。そこで現役を退いたけれど気力も体力もまだまだ充実しているシニアの「サポートスタッフ」を募集し、ジョブクルーのメンバーとの新しい事業「ハウスクリーニング」を立ち上げることにしました。 シニアの体力面と若者の精神面をお互いにカバーし合い協力していくことは、若者の社会参加へのステップになり、シニアの生きがいにつながっていき、それはNPO法人ウイッシュ・プロジェクトの目標である「人同士が支えあいともに考え活動し夢を実現していく」ことにつながるのです。 *NPO法人 「ウイッシュ・プロジェクト」は、2003年春「むさしのカウンセリングルーム」、「吉祥寺元気の素情報発信基地」等で働く女性メンバー3名が中心にNPO法人立ち上げを準備し、NPO・えんもこれをお手伝いし、2004年夏に法人格を取得しました。パワフルでしかもあくまで優しい女性たちのカウンセリング事業は、地域に根ざしたサービスとして大いに期待されます。 〒180-0022 武蔵野市境2-2-15 斉藤ビル3F JR中央線武蔵境駅北口徒歩3分 TEL&FAX:0422−54−8188 Email:tombo@xmail.plala.or.jp http://www.jojitown.net/hoka/wish/project.htm ●NPO法人女性と仕事研究所− わたし・仕事・みらい− 代表理事 金谷千慧子 「わたし・仕事・みらい」というフレーズが好きで、本や講演のタイトルにしています。1人称で自分を語り、仕事で未来を築くことを目標に、私も活動しています。 1 国連女性の十年から始まった 1985年第3回国際女性会議(ナイロビ)の帰途すぐ、主婦の再就職センタ−を始めました。1993年「女性と仕事研究所」に名称を変え、対象を拡大しました。その後キャリア・アドバイザー養成講座を実施しています。2000年、特定非営利活動法人になり、東京事務所も設立しました。思えば「国連女性の十年」から今の活動が始まったのです。 2 キャリアアドバイザー養成講座とは 女性の働き方は多様で、再就職・転職で企業に再勤務する場合も、起業家をめざしたり、NPOで新しい働き方を実現する場合もあります。いずれの場合にも(特に女性に)支援できるアドバイザーを養成しています。アドバイザーの勤務先は女性センターや、高校・大学、専門学校などです。企業向けのトレーナーもできますが、自営業のセルフエンプロイーでもやっていけます。今後ますます、需要は増えていきます。現在修了者はベーシックコース430名、アドバンスコース(資格取得者)が100名で、全国に点在しています。修了生と必要な諸機関のマッチングもしています。21世紀の最もプロフェッショナルな職業だと思いますし、「わたし・仕事・みらい」を確立するには、支援者としてのキャリアアドバイザーが必要なのです。 3 これからの働き方とNPO 志と経営をどうつなぐかが最も重要です。NPOにはマネジメントに長じるメンバーが少ないのは事実です。しかし、志のない経営はNPOではありません。ボランティアの3つのR(責任;Responsibility、誇り;Respect、報酬:Reward)を大切にし、NPO活動の原則(自発性・主体性・社会性・連帯性・創造性・先駆性)を重視して、新しい終身雇用に基づかない給与体系や子育てや家庭責任を楽しむ働き方を確立し、従属ではなく信頼関係でつながる仕事の仕方を当たり前にしたいのです。それでも経営力・営業力がなければ話にならないというのが、今のNPOの苦しくて楽しい働き方の実情です。 特定非営利活動法人 女性と仕事研究所 http://www.women-work.org 大阪事務所:大阪市北区堂島浜1-4-17 田中ビル4F tel 06-6341-3516 fax 06-6341-3517 東京事務所:東京都港区六本木4-7-14みなとNPOハウス tel.03-5414-3560 fax.03-5414-1295 ●江東区内NPO法人と地域の諸団体をつなぐ試みから:ふたつの懇談会を開催して ★そのT.(8/26)区内NPO法人と区議会議員の懇談会 地元のNPO法人どうしの顔合わせと、緩やかなネットワークづくりの黒子経験はあるものの、今回のような取り組みは初めて。NPO・えんと議員との関係は、これまでは15年来の知己でありわが会員でもある議員に、必要に応じて意見・要望を伝えてきた経緯はありますが、それ以外のルートはつくらず、具体的な提言・事業提案は行政にダイレクトに働きかけてきたケースの方が多かったといえます。 そこで、改めて議会との回路を他のNPOと一緒につくりたいと考えたことが発端でした。懇談会開催に当たり、根回しなしに全議員へ呼びかけたことや、懇談会のネーミングなどが、なぜか(?!)某会派のモーレツな怒りを買ったりしたハプニングもありましたが、当日はNPOに関心を寄せる議員6名とNPO13名の参加を得て、市民活動支援や市民参加をめぐって率直な意見交換を行うことができました。 昨年度の定例議会のNPO関連記録を準備した議員の報告から推察するに、区側のNPOに対する大方の見方は、NPOの実態は把握していない、(従って)行政とNPOとの関係は(未だ)希薄、(いずれにしても)NPOは未熟であり育成が必要な存在(だろう)という感じです。また別の議員からは、行政が協働に向けて一歩を踏み出せない理由は、成功例を持っていない(前例主義からの脱却が難しい)、NPOとの連携がビジョンとして描ききれていないことだろうと。これは本質をついた点ですね。 NPOとしては、チャンスを逃さず行政に対して存在をアピールしていくことも必要でしょうが、行政から認知されることを目的とするのではなく、真に役に立つ良質なサービスを提供することで、地域の人々から必要とされ、地域に認知される存在になるよう実績を重ね、同時に行政に対する政策提言を進めることが課題かなと思います。 話題は更に「指定管理者制度」の条例化、官と民の「協働ルール」、「市民参加の基本条例」等の市民(NPO)参加の制度化に移り、終盤で「NPOと議員の勉強会から始めてはどうか」という建設的な提案が議員からあがりました。この学習会企画づくりを宿題として、最初の一歩としては実りある懇談会を閉じました。 ★そのU.(9/29)区内NPO法人と商工団体・町会の懇談会 今回に限らずこの種の取り組みでは、毎回かなりの数の開催案内を発送していますが、参加申込はホンの一握りが通常です。しかし今回は参りました。なにしろメインの懇談相手側からは「江東区商店街連合会」のひとり(彼が神様の様に見えたものです!)だけの出席でしたから。町会に至っては欠席の連絡も皆無で、先のNPOと議員との懇談会時に、「NPO育成との関係で、町会の問題をどう克服するかも大きな課題」という一議員の発言がありましたが、まさにそのようですね。とりあえず、事前にその出席状況を参加予定NPOに知らせた上で、あらためて出席を要請。「たとえ参加者が少なくてもこういう取り組みを重ねることが大切ですよ」という、参加NPOの方からの励ましの一言がなんと心強かったか。 当日の懇談で、たまたま話題が江東区で2004年11月1日より実施される、第2子以上の出産に際して、区内商店街限定使用の2万円の商品券配布に及び、ここから発展して「地域通貨」の話になりました。すると商店街連合会からの唯一人の出席者がこのテーマに大変関心を示し、地域通貨を使って実際に成功している商店街の事例について勉強したいという意向が出されました。共通の関心事を発見したことで、「NPOから、なにやら会合の案内がきたけど、金集めでもするのかな」(一部ではそういう反応だったらしいです)といったイメージを払拭していくきっかけが生まれそうです。この課題については、早速パートナーとしてもう1団体のNPOに呼びかけ、共同企画として取組んでいくつもりです。 以上、8月・9月といずれもささやかな規模の懇談会でしたが、次につながる課題をそれぞれに発見できたことは大きな収穫で、アクションを起こせば必ず新たな目標が見えてくることを実感しました。 (本間 恵) ⇒ニュースレター最新号・インデックスへ |
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