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 ニュースレター : 21号

●「NPO・えん」の眼から見た−ここが気になる社会動向−
◇子育て支援サービス続々誕生◇
 子どもへの虐待が毎日のようにニュースに登場し、子どもを取り巻く状況はだんだん悪くなっている感じがします。子どもと密室の中で閉じこもり孤独感を感じたり、育児の負担感・夫の非協力などでストレスを感じたり、自分の子どもが本から得た知識や他の子と同じでないと不安になってしまう母親が多いと聞きます。そんな子育ての悩みの相談窓口として「こども家庭支援センター」が設立されたり、働くお母さんをサポートするために、昔ながらの「保育所」だけでなく「ファミリー・サポートセンター」が開設されるなど、行政も子育てを支援する仕組みを積極的に進めています。
 また、テレビでも子育ての番組が放送されたり、地域では子育てを支援する NPOやワーカーズも数多く誕生して、3世代が交流できる『たまり場』を提供したり、保育園に子どもを迎えに行った後の保育や家事援助のサービス等を行っています。
 このような親子への個別の支援が、社会サービスとして次々と準備されていくことはいいことですが、それに頼るだけでなく、地域でみんなで子育てをささえ、共に生きていける新しいコミュニティづくりが今大切なのではないでしょうか。「子育てしやすい町」はきっと「誰もが暮らしやすい町」になると思います。(宮守美智子)
◇加速するNPO支援センターの誕生と民営化◇
 「箱」は大抵行政が用意する。新築だったり空き校舎だったり様々だが、その運営もまたいろいろだ。現在公設公営でも、近いうちに民間委託を目論むところもある。民営主体には、@社会福祉協議会、ANPO法人、B市民運営協議会、などがある。@は限りなく行政に近く、福祉系には強いが、それがマイナスとなることもある。Bは、センターの運営を目的として市民が個人の立場で集まるが、メンバーが成熟していなければ人選と育成に苦労するという話も聞く。Aは、a)もともと独自のミッションで活動しているNPO法人一団体、b)いくつかのNPO法人や市民の連合体、c)運営を目的として新たに作られたものなどに分けられる。bとcでは、明確に区別できない場合もあるし、その成り立ちを行政がお膳立てしていることもある。そもそものNPO法人の存在意義を考えると、支援センター業務自体をミッション(の一つ)にできなければ、NPO法人が受託する意味はないはずだ。しかし行政側の浅い理解の下、「安い下請け先」という見方で事を運んでしまう側面もある。契約がずっと先まであるとも限らない。受けるNPO法人自体の成熟度が求められるが、なかなか追いつかない現状もある。このような状況では、「市民と行政との協働」の意義を双方が認識し、それを反映した契約を交わすことが必要となり、そのこと自体をサポートする事業もまた必要とされてきている。(稲田さと子)
◇公益法人改革◇
 公益法人改革の論点の一つとして、ワーカーズ・コレクティブのような出資型の非営利法人の出現を期待する声が上がっている。団体が事業経営を行う上で財源基盤の強化は必須であり、その確保の方策の一つとして会員からの出資金があるが、NPO法人の場合その規定がなく、現実的には難しい。融資や寄付金として会計処理したり、別の事業組合を設立してその受け皿としたりしているのが現状だ。一方、出資型任意団体であるワーカーズ・コレクティブは、(ワーカーズ・コレクティブ ネットワークジャパン(WNJ)が中心となって)これまで法人制度化への運動を続けてきたが、現状では非営利組織にも関わらず営利法人の有限会社や企業組合の形で法人格を取得している。えんが事務局をしているコミュニティ・ワーク連絡会にもワーカーズ・コレクティブがいくつかあり、地域に根づいたコミュニティビジネスを展開している。自ら出資し、運営や経営に関わるワーカーズ・コレクティブはこれまで高齢者や女性の仕事の創造、地域へのサービス提供媒体として、地域コミュニティに貢献し、溶け込んでいる。その活動を継続し、発展させる上で、出資型の非営利法人の法整備が待たれる。 (馬場悦子)
◇雇用創出◇
 政府の「緊急地域雇用創出特別交付金制度」も2004年度末で終了予定とか。NPO・えんもこの制度を2回利用(2000年と2003年)させてもらったので、あれこれ言うのもなんですが、4300億円の雇用創出効果はどうなのかなと思ったりします。ハローワークを通して多くの失業者を雇用してもほとんどは半年間の期限付き。せっかくいい人材に出会っても、NPOの場合、その後も自力で継続雇用していくのはなかなか難しいものがあります。報酬が低くても、あるいはボランティアでもと思っている人材は、もともとハローワークに登録するケースは少ないですし。
 今後ますます必要とされる社会サービスは、まさにNPOが取組んでいる福祉、環境、子育て、文化等の分野です。ならばこの分野の雇用を促進させる方針(NPO支援)を積極的に打ち出し、生きた資源の使い方をすれば、「雇用問題」解決の一助になると同時に、「働き方」の見直しやコミュニティの回復など、波及効果も出てくるでしょう。但しこれまでの成長主義から視点を転じることが前提ですが。(本間恵)
◇年金改革◇
 年金問題は、毎日のように週刊誌、新聞を騒がせた程の国民的大問題だ。自分はいくらもらえるか、少しでも多くもらうにはどうすればいいのか、ということに関心が集中した感があるが、何故こんなにも複雑でわかりにくいのだろう。問題は現在の年金のモデル世帯「サラリーマンの夫と専業主婦の妻」が、国民を代表していないこと。2002年のデータでは、第2号(サラリーマン(公務員含む))の男性は約70%。第3号(専業主婦)の女性の割合は32%で、第2号(働く女性)の36%よりも少ないのだ。そして、第3号は年収のない(年収98万以下の)専業主婦対象という固定観念があるが、女性だけではない。割合は少ないものの、男性の割合も1%(7万人)を占める。また、未婚、離婚の増加、厚生年金に加入せずフリーターで働く男性など様々な生き方のパターンが出現している。誰にでも公平感のある信頼できる制度にするためには、つじつまあわせの先送りが繰り返すのではなく、どんな立場になっても年金が変わらないよう制度を一本化するなどの抜本的な改革が必要だ。それには、福祉も絡めた社会制度の見直し、働き方の見直し、社会構造そのものの見直しが必要になってくる。
 私たちは、もらえる金額にのみ目を向けるのではなく、自分達の生き方にふさわしい分かりやすいものするには、どのような年金制度が望ましいのかということにも関心をもっていきたい。年金は世代間相互扶助、生活保障の意味合いも持つ。その制度が傾こうとしている今、地域での様々なNPO活動やコミュニティビジネスなどが、それを補完する役目を担うだろう。政府任せにせず自分達で自分達の生活を守るために、大騒ぎしてもなんら抜本的に変えることなく続く制度の先を行く生活提案をしていきたい。
 それにしても、政府はどうしていつも世の中を後から追っかけているのだろう。(馬場悦子)
◇憲法改正と平和◇
 このニュースレター紙面で、平和と戦争について何回か取り上げてきましたが、今回は憲法改正についての所感を。
 前文と9条を変えることが狙いの政府与党、そこは護るが、この機会に大いに「論じて」よりよいものに「創って」いくべきとか、何があっても「護憲」などの野党各党。一般市民のひとりとしては、政府与党はもとよりどの党にもイマイチ共感できないのは少数派なのか多数派なのか。権力の目的がこれだけ明白な時、多くの有権者の腑に落ちるような、これからの日本の平和と軍事に関する指針、国際的な中での在るべきスタンスをはっきり示して、その場合の有効な切り札が前文と9条であるという、説得力あるメッセージを聴きたいものです。
 時代の変化に伴って様々な問題が発生しています。新たに追加すべきことや改訂すべきことがあるという考え方は否定しませんが、今優先すべきは、政府与党の思惑を阻止することと、有権者に対し平和主義の国として、具体的に何をどのように進めていくかを示すことではないでしょうか。(本間恵)
*政治、経済、社会のあらゆることに生活者である市民の視点が常に必要ですが、今私たちの置かれた状況こそまさにそうではないでしょうか。
 市民として沈黙することなく、それぞれ立っている場所で、時代を切り拓く努力をしていきたい。NPO・えんはそういう市民や市民活動をこれからもサポートしていきたいと思います。


●東京ベーテルの原点は温もりのあるコミュニケーション、開設5年目の今、「ひろば」
 はコミュニティとして成長 NPO法人ファミリーセンター東京ベーテル 森木美佐子
 親子で遊べるフリースペース「親子よろこびの広場」を東京都江戸川区葛西で開設しています。サポーターと呼ばれるスタッフが常時いて、子育て中の親子をサポートしています。ファシリテーターの表現の方が適切かと思いますが、参加する方たちに馴染みがあり、役割をイメージしやすいサポーターの表現を私達は使っています。親子で好きな時間に自由に遊べるこの場所には、親の気持ちに寄り添い話を聞き、お母さん同士をつなぐ働きをするサポーターの存在が大切です。
 以前、ある婦人保護施設でソーシャルワーカーとして携わった経験が、「ひろば」の前身とも言える子育て相談室「ホッとスペース」や「茶話会と集い」の開設へとつながっていきました。その施設で当直の夜、一人で業務日誌を書いていると色々な人が話をしに来ました。そこは相談室などではなく、深夜の事務所でした。その時、自分の思いを自発的に語れるのは、安心した関係の中で、本人が話したいと思ったその時なのだと知りました。それは立派な相談室に相談員をたくさん配置して待っているというような状況とは異質であることを実感しました。
 「茶話会と集い」では毎回プロの方を講師に招き、ケーキを作り、試食をして子育ての情報交換をするなど楽しい集いの時間を過ごしていました。全員子ども連れですので、ボランティアが保育をして、お母さん達の話し合いにはボランティアも一緒に参加をします。参加者からは「ただここに来るだけでストレスが解消し、自由に話せる場所があることが嬉しい」との声が届くようになりました。このような声を受け止め、具体的な形としてスタートしましたのが、現在の「親子よろこびの広場」です。
 現在、「ひろば」に参加するお母さん方から「東京ベーテルは一人で来られるからいい」という生の声が届きます。他の場所で人との交わりに困難を感じたからこそ出た言葉だと気がついたとき、婦人保護施設で感じたことも地域で子育て真っ只中のお母さんも同じ気持ちであることに思い至りました。みんな温もりのある、人と人との交わりを求めているのです。今の社会状況の中で子育てをしているお母さんは「どこに行ってもグループが出来ていて中に入れない」とよく言われます。そのような閉塞感を無くして、お母さん同士のコミュニュケーションを育む役目を冒頭に述べましたサポーターは持っています。人と人をつなぐ大きな役割が発揮されるかどうか、今後さらにサポーターの重要性が問われてくるのではないでしょうか。
 会報にあるお母さんは『自分の子どもの成長を「ひろば」のたくさんの人の目、耳、手、に見守られていることが嬉しく貴重な体験をしている』と感想を述べています。
 江戸川区東葛西7-7-16-110 Tel03-3686-8350

●地元を訪ねて 江東区発
  全国初のNPO診療所も運営  NPO法人メディカルケア協会

 高齢者向けの医療・介護事業を多角的に展開する団体です。2000年には全国初のNPO法人立診療所「うめこのクリニック」(山梨県甲府市)をオープンさせました。診療所は通常医師に開業権が与えられますが、厚生省(当時)の判断で、NPO法人が主体となっても問題ないとされ実現しました(所長は同協会理事で医師の小林梅子さん)。この診療所では外来診療以外にも訪問介護、訪問看護、訪問リハビリなどの居宅サービスも行っています。また、同協会のグループには社会福祉法人奥湯村福祉会があり、ケアハウスやショートステイなどの施設サービスをすでに行っており、クリニックの開設によって保健、医療、福祉の連携が確立できました。
 さらに、予防医学の観点からの活動も視野に入れています。中立、公平な立場で巷に溢れる健康情報を評価し、消費者が自ら商品を選べるようにセミナーなどを開催し、産業界とも連携を図り、「健康を守る環境づくり」のために協働しながらネットワーキングをすすめ、よりよいサービスや製品が生まれる環境を整えていく予定です。都心部に総合予防センター(健康相談、情報発信、商品開発などの拠点)を作る計画もあります。高齢社会に向け、同協会の活動はこれらの分野で活動する団体にとって、また地域福祉のあり方を考えるすべての市民にとって、メルクマールとなることでしょう。
◇活動内容
 ・NPO法人立診療所・訪問介護事業所3ヶ所(山梨)
 ・ヘルパー養成〈通信講座1、2級〉(H16.1現在3000名卒業:山梨、東京、長野)
 ・居宅介護支援事業所〈要介護認定訪問調査業務〉(東京) 
 ・在宅介護家族の心のネットワーク「絆きずな」
   介護のつどい(学習会、情報交換、交流)、おでかけ会
   TOMONIくらぶ(介護者のリラクゼーション、交流)、相談、会報
 ・高齢者、介護、NPO関係の調査、研究
   福祉NPOによる地域福祉ネットワークづくりハンドブック作成
   市民ベンチャー事業
    〈NPOと人材のマッチングシステム開発〉(経産省H15年度)
 ・高齢者向け健康情報冊子『ほのぼの』の企画、編集(H15.5〜 毎月発行)
  NPO法人市民福祉団体連絡協議会(参加約730団体)を通じて訪問先の各高齢者宅へ      ★この紹介記事は、メディカルケア協会理事の小野有香里さんから送っていただいた資料をもとに作成しました。
 <連絡先>
  〒136-0071 江東区亀戸2−6−6−1014
  Tel/Fax:03−3682−6962 e−mail:BE1HEALTHY@aol.com

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